こんにちは!
junonoです。

今回は「フランスの最も美しい村」の一つとして登録されている南仏レ・ボー・ド・プロヴァンスと、そこにある◇光の採石場◇を紹介します。

レ・ボー・ド・プロヴァンスは、人々が紀元前から岩石に住んでいたり、石の採掘や加工をしたりしていて石と共存していた場所。

◇光の採石場◇キャリエール・ド・ルミエールは、採石場跡を利用したプロジェクションマッピングです。

世界最大の東京都庁のものも凄い迫力ですが、こちらは感情流入ありの没入型。

巨匠の絵画や人気のコミックなどに動きを付けて、壮大な採石場の壁・柱・床に映し出し、サウンドをミックスしたストーリー仕立ての没入型マルチメディアショーです。

自分が絵や物語の不思議な別世界に、スポッと入り込んで散策している気分になります。

ちなみに採石場はアーティストを魅了するようで、ジャン・コクトーやゴッホなども作品を残しています。

それでは、まずは村へ。

石の村◆レ・ボー・ド・プロヴァンス◆

「フランスの最も美しい村」の一つに登録されているレ・ボー・ド・プロヴァンスはアルピーヌ山脈のゴロゴロした岩石でできた崖の上にあります。



村は上部にあって、中央辺りの穴が空いている部分は採石場への入口です。

車かバスでのみ行くことができて、アルルから30分、アヴィニョンから45分、マルセイユから一時間半程。



こんな感じの岩石を切り開いた道も通って行きます。

2車線でこの道なので、渋滞にはまって引き返すこともできずに、かなり予定より到着が遅れたこともありました。

村役場のウェブサイトによると、なんと紀元前6000年頃から人々が密集して住んでいたとのこと。

深い渓谷、多数の洞窟、豊富な泉、高原など、交流に適した環境や自然がもたらす好条件の恩恵を受けて、岩を住居として生活していたらしいです。

交通路の発達のおかげで、ローマ時代は貿易が活発になり、住民は石の採掘と加工をしていたとのことです。


街が形作られ、城塞都市ができてかなり栄えたのが中世初期。

しかし、1632年にリシュリュー枢機卿に要塞を破壊されてこのようになったらしいです。

岩石をそのまま利用してお城が作られていて、興味深いです。


かなり際どい造り。
石が丈夫で、崩れないのが凄いです。

現在、村は観光業にシフト。

フランス最年少でミシュラン3つ星を獲得した有名シェフのグレン・ヴィエル氏によるエコなレストランや採石場跡などもあって、多くの観光客が訪れています。

石の遺産は観光にかなり役立っているようです。


こちらはかつての投石器を再現したもので、実演もあり。
石にはいろいろな使い道がありますね。


村を歩くと、石を積み重ねたかわいい建物や石畳が。
はるか昔にタイムスリップした気分になります。

光の採石場◇キャリエール・ド・ルミエール◇

光の採石場。キャリエール・ド・ルミエール。

その公式サイトによると、「南の石」としても知られるレ・ボー・ド・プロヴァンスの石は紀元前2000年前から形成されたとのこと。

少し石灰質の石灰岩で粒子が細かく、白かブロンド色。

中世時代にはここのお城や別の村の建設に、産業革命時代にはあらゆる建築物に使われたそうです。

海洋生物の化石も多く出るのだとか。

1821年には採石場から赤い鉱物が発見されて、そこからアルミニウムや初めてここで発見されたボーキサイトが抽出されます。

ボーキサイトはこの場所レ・ボー・ド・プロヴァンスにちなんで命名されたとのこと。

採石場は1935年に閉鎖。
第一次世界大戦後は、安価な建材に押されて石建材の需要が急速に減ったのだそうです。

その後、採石場はアーティストやクリエイターが愛する場所となりました。

キャリエール・ド・ルミエールは村の中心から少し下ったところにあります。
入口は岩石を削ってつくられているようでした。


内部のマップ。
下三分の一がプロジェクションマッピングの空間。
散策しながら楽しめる充分なスペースがあります。

プロジェクションマッピングの様子は動画でどうぞ。

石ブロックを重ねた壁や柱の360度全方向と床に映像が投影されて、自分がまるで別世界にいるようでした。

床への投影も非現実的で、まるで自分が水面や異物質の上を歩いているような気分になります。


現在はゴッホがテーマ。
絵でしか観たことがなかった作品に、幻想的な動きとサウンドが加わります。

画家の心情を折り込みながら生涯を語っているようなストーリー仕立てでした。
物悲しいけれども美しい…

演劇や映画とはまた違った、非現実的な体験でした。

個人的に花火やライトショー、プロジェクションマッピングといった暗闇を照らすショーが大好きです。

できるだけいろいろなところを観て回っている最中ですが、ここは採石場を自由に散策しながら感情移入ができたこともあって、別格でした。




こちらは外のテラスから見た光の採石場へ続く通路。
内部の空間もこのような不揃いの白い石ブロックを積み重ねて、壁や柱が作られています。

まるで神聖な神殿のようでした。

ちなみに、フランスの歴史的建造物に指定されています。

同じプロジェクションマッピングのプログラムをパリ、アムステルダム、韓国などでも展開していますが、やはり本家採石場での投影は一味違います。

真っ白で神秘的な採石場は数々のアーティストを魅了したようです。

ジャン・コクトーはファンタジー映画「オルフェの遺言」を採石場で撮影。


その様子を掲示したパネルが掲げられていました。

そしてゴッホも、採石場の入口を描いています。
個人所蔵のため、非公開作品です。


ちなみに近くにはサン・レミ・ド・プロヴァンスという街があって、そこにはノストラダムスの生家やゴッホが静養していた修道院などがあります。

街や周辺にはゴッホの絵のパネルがいたるところに掲げられていて、例えば絵のモチーフとなった場所にこんな感じで絵が展示してありました。

以上、フランスで最も美しい村のレ・ボー・ド・プロヴァンスと光の採石場◇キャリエール・ド・ルミエール◇を紹介しました。

それでは、また次回に!