こんにちは。
junonoです。

今回はスペインを代表する奇才アーティスト、サルバドール・ダリの生誕・終焉の地フィゲラスや、ダリ劇場美術館と宝飾アートなどの作品を紹介します。

フィゲラスは紀元前1世紀にローマ人によって建設された、長い歴史のある街。

バルセロナからは、高速鉄道で一時間程。
フランスからは、ピレネー山脈の国境から車で30分弱でした。

ダリは尊敬する多才なダビンチたちのように、様々なスタイルの絵画、彫刻、版画はもちろん、映画、演劇、文筆、さらには商業デザインも手がける万能なアーティストでした。

身近なものでは香水瓶やチュッパチャップスのデザインが有名。

奇想天外なダリ劇場美術館には多様なコレクション、隣接する宝飾館には宝石・天然石を惜しげもなく使った豪華な作品が揃っていました。

アートについては「さすが」「象徴」「トリック(だまし)」「ギミック(仕掛け)」「美」という観点で、それぞれ感動したものを一つずつ紹介します。

それではダリワールドへ!

ダリ劇場美術館「さすが」な外観と「象徴」の卵とパン

ダリ劇場美術館の奇抜な外観。

いきなり、ダリのマジック全開です。

外観は、温故知新。

昔からあるものを取り入れて、それに独自のテイストをつけて、多様な様式のものを合体させて見事にマッチさせた「さすが」なデザインでした。

スペインでよく見かける砦や城壁のようなデザイン。

それなのに、鮮やかなカラーと斬新な装飾が加えられて、全くユニークなものに。

人のオブジェや、多方面を多角度から見れる万能な蝿の目をイメージしたガラスドームも。

サルバドール・ダリにとって誕生・愛・希望を意味した卵や、壁に張り付いているパンはダリが繰り返し表現したある種の「象徴」。

他にもたくさん象徴的なものはありますが、フィゲレスでは卵とパンが目立っていました。

パンは形がそれぞれ違っているのでリアル感があって、美味しそう。

このパンは美術館内部の壁にも張り付いていました。

ダリ劇場美術館のインスタグラムによると、カタルニア地方のクロストンというパンなのだそうです。

ダリのものは3つの角があるtres croston。

ダリはこの形をした帽子を被って、時折写真を撮影していたとのこと。

パンはカタルニア人の主食で、日常生活で最も基本的な要素だと考えたようです。

アラブの要塞風デザインの部分も。

梯子らしきものが、飾られていた絵に続いていました。

正面はまたまた変わって、宮殿のような豪華なデザイン。

建物をパッと見ただけでも無数のオブジェが点在。

スペインでよく食されるバゲットや別の種類のパンを頭に乗せた像、ダリが講演会で着た潜水服像も。

頭が卵になっている像の中には、無数の像が存在。

その他、この一帯の道にたくさんの彫刻を中心とした像のオブジェが散りばめられていました。

個別にオブジェをしっかりとみるならば、美術館に入る前にかなりの時間を要します。

中庭はまたギリシャやローマ時代の劇場みたいな感じの壁が。

これだけ違うデザインの外観を見事に一まとめにできるとは、さすがダリです。

ダリ劇場美術館の作品

ダリ劇場美術館の作品は、全てが奇抜で斬新でした。

ダリ自身やその人生のような劇場

蝿の目をイメージしたガラスドームを下から見ると、このような感じです。

美術館は内戦で破壊された市営の劇場跡に建てられたもの。

この空間は舞台劇場仕立てになっています。

ここだけでもかなりのオブジェや絵があって、一つひとつ見ているとキリがなくて次の部屋に移動できないほどです。

例えば左下奥にあるリンカーンのだまし絵。

絵の中央にダリの妻ガラの、後ろ姿のヌードが隠されています。

ダリはこの美術館で亡くなって、この劇場の真下で眠っているとのこと。

ダリの目立たない墓標プレートが床に埋め込まれていて、その上を来場者が無意識に歩いていました。

この場所の構成が、ダリ自身やその人生を表現しているように感じました。

メイ・ウエストの顔のシュルレアル・アパート「トリック」満載

メイ・ウエストの顔のシュルレアル・アパート。

有名な作品の一つで、米女優の顔をアパートに見立ててデザインした作品。

髪はカーテン、唇はソファ、鼻は暖炉、目はだまし絵。

天井に少し見えるのはお風呂。

「トリック(だまし)」な作品の中に、また細かいトリックがあって、非常に奥が深いデザインです。

ダリは木や葉、動物、その他のものに人を見出していて、擬人化していたそうです。

この作品も、アパートを擬人化デザインにしたものですね。

ダリ宝飾館の作品

ダリ宝飾館のウェブサイトによると、ダリの宝飾は他のデザインと同様に、色や素材の価値だけでなく、宝石や貴金属が持つ象徴的な意味や内包にも焦点を当てて、使う素材を選んだとのことです。

また、サルバドール・ダリのジュエリーは、素材のコストを重視することに対する抗議だとのこと。

ダリが宝飾をデザインする真の目的は、宝石の芸術を真の視点で示すこと。

ルネッサンス時代のように、宝石の物質的価値よりも、デザインや職人の技術が評価されるべきだとのことです。

王家の心臓 「ギミック」で真っ赤なルビーが鼓動

王家の心臓。

ダリの宝飾で最も有名な作品の一つです。

英国エリザベス2世の女王の戴冠を記念して作られたとのこと。

心臓は18Kイエローゴールド。

血液は円と楕円のルビー。

王冠にはルビー、サファイヤ、エメラルド、アクアマリン、ペリドット、ガーネット、アメジスト、ダイヤモンド、真珠が使われているとのこと。

トクントクン。
鼓動する「ギミック(仕掛け)」が施されています。

リアルな動きのように感じました。

イルカと人魚 「幻想的な美しさ」を天然石の素材を活かして表現

イルカと人魚。

なんと幻想的で美しい作品でしょう!

個人的にかなり気に入りました。

イルカは18Kイエローゴールド。
人魚は赤珊瑚。

イルカの歯や人魚のアクセサリには、小さなダイヤモンドが使われています。

背景はカルサイト、クオーツなど。

そして、滝はランダムな楕円型のダイヤモンド。

流れる水を石でこんなに美しく表現できるとは…

この作品を見てから、シャワーを浴びるときにダイヤモンドを浴びている気分になり、逆にクリアな天然石を見ると水を連想するようになりました。

スペインでは水不足がかなり深刻なせいか、お水の貴重さや大切さも感じます。

フィゲラスの街とアート

フィゲラスの街を散策。

ダリの生家へ。
建物の中には入れませんでした。

家庭は裕福だったようです。
壁には家族の写真が掲げられていました。

ダリはこの屋上で一人になるために、絵を描いていたらしいです。

ダリに刺激されたようなホテルも美術館の近くに発見。

こんな感じのモダンなオブジェもありました。

11世紀からの歴史があって、14世紀に再建築されたサンペドロ教会。

ダリはここで洗礼を受けて、お葬式もここで行われたそうです。

街は新旧が共存していて、違った趣を楽しめました。

ダリ劇場美術館はかなり刺激的で、フィゲラスの街の雰囲気もよかったです。

それでは、また次回に!